腐敗した「原子力村」がいまだ支配する日本

2012年01月28日 Saidani

翻訳:mikte

福島の原発事故。母なる自然が原因となったが、それと同じくらい人間自身が原因となった事故から1年足らずで、通常の状態に戻った。

かつてその地域で暮らし、栄えた何万人もの日本人の生活のことを言っているのではない。日本の原発業界とこの業界の監視を任されている政府を大いに特徴づけ、支配している腐敗のことを言っているのだ。

下記の記事は、腐敗を引き起こしている人々と、腐敗から恩恵を受けている人々の傲慢さについて書かれている。それ以外のあらゆる人々は、日本の一般市民から、腐敗していないが意見を述べられない人々まで、この腐敗の影の下で生きているように見える。許されているのは、また別の事故がこの国を襲わないように願うことだけ。ほとんど何もできない人々の願いであることが、腐敗に関与している人々にとっては一か八かの賭けなのである。

政府の専門家会議委員を務める2委員は、原発事故後に行われた原子炉の安全評価(ストレステスト)は不完全な基準に基づいており、多くの関係者の利益相反が生じていると語った。井野博満東大名誉教授は27日の会見で、「事故によってこういった全てのガイドラインやカテゴリーが不十分だと分かったにもかかわらず、現在着手している全てのプロセスは、福島第1原発の事故前と全く同じだ」と語った。

ストレステストは東日本大震災によって東京電力・福島第1原発でメルトダウンが発生した後に始り、現在3基を除く全ての原子炉が停止している。井野氏は、政府は懐疑的な国民に原発は安全だと納得させ、原発を再稼働させようとして、プロセスに対する批判を無視していると指摘した。

14基の原子炉のストレステストに関する報告書が原子力安全・保安院に提出された。元原子炉格納容器設計者で、現在は委員の一員でもある後藤政志氏によると、福島第1原発のメルトダウンと水素爆発の原因がいまだ調査中にもかかわらず、複数の自然災害を想定したシナリオを適用したテストは1つもなかったという。

後藤氏は「ストレステストは、全てのことが想定通りに起こるという仮定に基づいた、楽観的な机上のシミュレーションに過ぎない」と述べ、さらにテストには人為的なミス、設計上の欠陥、あるいはその両方が発生する余地がないと付け加えた。

しかし、福島で全てが悪い方向に進んだことで専門家として決まり悪い思いをしたのに、なぜ規制当局は事故が再発する危険を冒そうとしているのだろうか?

保安院・原子力安全基盤課(ストレステスト担当)の田口達也氏は27日、テスト方法を変更する予定はないと電話で語った。井野氏と後藤氏の懸念については議論したという。

田口氏は「現実を反映するように最善を尽くす」と述べた。

井野氏と後藤氏によると、原発設備メーカーの三菱重工が東電の災害シミュレーションを行い、保安院に結果を渡す。報告書は原子力安全基盤機構(JNES)によって見直されるが、JNESには三菱重工元社員が働いているため、利益相反が生じる可能性がある。

両氏は、専門家会議委員の中には三菱重工やその関連企業から研究費を受け取っている人もいると指摘した。原子炉を抱える地域の代表者はこのストレステストに招かれていなかったという。

既得権益

伊野氏は「既得権益を持つ個人と組織がテストを行っている。こんな体制では適正に評価することはできない」と語った。

三菱重工の広報担当、生野英夫氏は、コメントできる立場にないと答えた。

原子力業界はこの業界を監視・規制するのに必要な人々と同じ資質を備えた、最も前途有望な大卒者を雇用する閉じたループのような体制をしている。原子力を利用するあらゆる国でよくあることだが、人々は利益追求型の原子力業界と政府の規制当局の間を行き来し、腐敗とも言い換えられる利害関係を築いている。

「天下り」と呼ばれる日本の伝統的制度(官僚高官が退職して民間または公営企業の重役になる慣行のこと。この慣行は経済・政治改革を阻む腐敗で、民間企業と国のつながりを解く妨げと見なされることが多くなっている)は、規制当局と三菱重工、東芝、日立GEニュークリア・エナジーなどの企業に利益相反を生む一因に過ぎない。利益相反は国連機関の国際原子力機関(IAEA)にも生じている

(IAEAは)安全を3つの優先事項の1つと位置づけているが、事故から原発の安全を守るために使われているのは、3億5200万ユーロ(4億6900万ドル)の通常予算の8.9%である。残る2つの優先事項──技術協力と核兵器拡散防止──に資金を投入しているため、IAEAは福島の原発事故によって明らかになった原子炉の安全上の欠陥を改善する機会を逸している、とオーストラリアの元外交官、トレヴァー・フィンドリー氏は語った。

フィンドリー氏は「IAEAは今回の恐ろしい出来事を機に、原子力の安全性で同機関の役割を高めることができなかった」と指摘した。

IAEAのホームページによると、IAEAは「原子力の平和利用」のための国際機関として1957年に設立され、「安心安全で平和的な」原子力技術を促進している。本部事務局では2300人のスタッフが働いている。

***

ブルームバーグがインタビューを行った科学者、外交官、専門家によると、IAEAの綱領には、日本の失敗した原子力安全体制と同じ矛盾が含まれている。原子力の促進と規制の両方の役割を担っているというのだ。

IAEA予算の約半分は、軍事目的での核物質の使用を禁止するために使われている。さらにイランは核兵器を開発しているという疑惑があったため、同国の核開発の調査に10年を費やしてきた。

IAEAは核兵器に的を絞っていたため、何年も報告書がねつ造され、日本の原子力業界で何度も致命的な事故が起こり、最後に東京電力・福島第1原発のメルトダウンが発生することになった。原子力安全・保安院は、原子力を促進する権限を持っていた経済産業省の傘下にあったため、利益相反状態に置かれていた。

***

スイス原子力学会会長でライプシュタット原子力発電所の安全順守部門長のヨハニス・ネゲラット氏は、IAEAは「日本の規制と産業育成の非分離を長年容認してきた。セーフティーカルチャー(安全文化)の問題を抱えている」と指摘した。

***

国連データから、2009年の就任以来、天野事務局長は世界中の450カ所の原子炉安全対策の5倍以上の資金をテロ対策と拡散防止に投じてきたことが分かる。

IAEA原子力安全保障部は、アメリカの外交文書の中で原子力技術を販売しようとする諸国のマーケティング手段と評され、ほとんど敬意を集めていない。

***

IAEA原子力安全保障部の谷口富裕前事務局次長の実績も疑問視されている。同氏は日本の規制制度の創設に一役買ったが、その制度には欠陥があり、福島の原発事故を引き起こしたと非難されている。

***

IAEA原子力安全保障部は自然災害がもたらす脅威を軽視してきた。2010年、天野事務局長就任後の最初の1年間に、テロ対策費は安全対策費の3倍に増加した。

谷口氏は2005年12月のスピーチで、「津波、洪水、ハリケーン、地震は世界の多くの地域に影響を及ぼしてきたが、どこの核施設も見事に対応した。設計と稼働特性によって、過酷な自然条件でも安全性が脅かされないということが保証された」と語った。

谷口氏はIAEAに加わる前、原発の稼働に関して一般の人々の理解を得る原子力発電技術機構の専務理事も務めていた。

こういった制度に付き物の腐敗を理解するのに、原子物理学者は必要ない。日本政府がこういった制度を終わらせないのは(原発規制機関を経産省から環境省に移す計画は、国民を欺く詐欺に過ぎないと指摘しておく)、腐敗がトップレベルの政治・官僚階級に達している証拠なのである。

原子力の問題に関してどういう立場にいても、最大の問題は腐敗だということに誰もが同意するはずだ。原子力業界が日本政府を腐敗させたのだとしたら、他のどんな特別利益団体も政府を腐敗させている。政府の不合理な行動に基づいて、いくつか挙げておこう──アメリカ政府と軍産複合体(普天間基地・沖縄・F-35戦闘機の購入)、経団連(資金力のある企業への助成政策)、日銀を含めた中央銀行(ゾンビ銀行の救済・不動産・無担保債券保有者、つまり銀行と日銀自体の要求を満たすためだけの国債)、世界的な気候変動問題(非効率で収益性の悪いエネルギー源を促進するという名目で、または特定の技術の研究を推進するために、他のもっと妥当な資金の使い道を無視して投じられる税金)。

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