次世代リーダーの人生設計(ライフデザイン):キーワードは学習能力、変化・革新

Taroさんは、前回「学歴神話」は昔の話だという記事を書きました。

学歴神話は昔の話だとすると、学歴はあってもなくても同じでしょうか?卒業証書は紙きれ一枚だけなのでしょうか?読者の皆さんはそんな短絡的な考えはおもちでないでしょう。

学歴は、個人が一定の学業の課程を修了した結果です。その目標達成の成果物です。結果を出すのは素晴らしいことです。そこには、進路を決めるプロセス、そこに進むための準備、学習や研究の実行、卒業のための必要条件を満たすための努力があって初めて手に入るものです。個人の人生設計の第一歩が進路の選択です。進路選択の早い段階では、本当に勉強したいことや就きたい職業は、まだはっきりしていません。後に自分の進みたい分野がはっきりするまでは、勉強を続けられるところまで続けるというのが、一番理にかなっています。

受験競争にあおられて、ブランド名のように学歴が独り歩きした時代もありました。繰り返しますが、学歴はあくまでも結果です。学業を修める過程で培われた、より大切なものがいくつかあるはすです。そこには、健全な学習の習慣、学習能力の強化、有効な学習方法の体得、目標設定と達成、社会性の開発などがあります。

若い人に勧めるのは、大いなる好奇心と幅広い興味をもち、とにかく学業はできるだけ積みなさいということです。世の中の仕組みが変わっても、自らも変わり、さらに新しいものを作りだして自分自身が新時代の一部となるような人間になることです。今存在しないものや見えないものを顕在化できる能力を強化することです。

すでに20年以上前に未来学者のジョエル・バーカーは、 世の中の変化の速度は加速度的に速くなっている と言っていました。日本がバブル終末も間近だというのにまだ浮かれていたころです。学歴も含めて日本人がラベルやブランド名を追っていた時代です。人は変化を受け入れることに対し消極的どころか、否定的です。今までのやり方にかなったもの以外は、なかなか受け入れられないのです。しかし今までのやり方といっても自分の人生の中での話であって、太古の昔から決められていたことではありません。もしそうならば、私たちは今でも竪穴式住居に住んでいたかもしれません。

変化が起きるとき、二種類の人間がいます。変化・革新を起こす人と、それらの影響を受ける人です。後者もまた二通りに分かれます。変化・革新を受け入れる人と、受け入れない人です。世の中がその変化・革新を必要としていれば、その変化は起こり定着します。それを嫌う人は、ただおいていかれるだけです。また、まったく新しく見たこともないものがこの世の中に紹介されるとき、それが受け入れられるのは単なる変化・革新以上に困難です。今では誰でも普通に使っているコピー機が発明された当初そうでした。アメリカ人のチェスター・カールソンという物理学者がコピーをする装置を発明したとき、受け入れられるまでに何と10年もかかりました。それは、彼の発明が今までなかった新しい装置だったので、その装置がどれほど役に立つかイメージできる人がいなかったのです。断った会社には世界的に有名な大会社も名を連ねます。カールソンは自分の発明を20社以上に断られた後、やっと倒産しそうな小さな印刷会社と組むことができました。それがゼロックスの始まりでした

日本では、バブルが崩壊後、第二次大戦以来続いた右肩上がりの経済は終わりを告げ、ありとあらゆる経済活動が栄えた時代は過去のものとなりました。バブル以降生まれた若者たちにはバブルの体験や実感はありません。バブル時代を生きてきた大人は、ポストバブルの時代に自分の子供たちをどう指導した良いのか戸惑っているうちに、その子供たちも成人してしまいました。公立学校の教育方針もコロコロと変わりました。団塊の世代から始まり、ポスト団塊、ポスト団塊ジュニア、ゆとり時代と次々と世代が生まれました。

これから将来の新しい日本のリーダーとなるのは、現在の高校生から30代半ばの人たちです。20代半ば以降の人たちは大部分がすでに社会人になっています。しかし、いろいろな意味で中途半端な時代に育った彼らは、人生設計(ライフデザイン)という意味ではいまだ五里霧中で、模索を続ける人、試行錯誤を繰り返す人、途中で道を失い戸惑っている人が大勢います。変化し続ける社会で実用的な方法論もロールモデルもなく育った結果です。たとえ高学歴をもった人でも、雇用は完全ではないし、また学業の専門分野が人生でやりたいことと連動していない場合もあります。

未来のリーダーである若者にやってほしいことがいくつかあります。一つは、日本がどのような国になっていってほしいのか、イメージすることです。そして自分がそこで、どのような貢献ができるのか考えることです。日本の未来がステージだとしたら、自分はそこでどんな役を演じているのだろうと考えてほしいです。その役になりきるには、自分はどうあるべきか、何ができればいいのか、そしてそのために今何をすればいいのかを考えます。イメージは明確でなくてもよいし、何をするのかも今の時点では詳細まで分からなくてもかまいません。重要なのは、自分には何かできる、自分の持ち場があるのだという自信です。一人ひとりが特別な使命をもった人間であり、世の中はそれらすべての人々から成り立っています。一人ひとりが自分の中にリーダーを宿しています。そのリーダーを呼び覚まし、持てる能力をさらに磨くことで、変化・革新を含むその人特有の貢献の仕方が生まれます。

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